Steam Store と GOG.com と Epic Games Store の違い……どれを使うべき?

結論から言うと:3つとも登録しとけ。

ゲーム電子配信サービスの種類

Steam Store、GOG.com、Epic Games Store の話に入る前に、まずはゲームの電子配信サービスの種類について知っておきましょう。

自社製品のみを配信しているサービス

Origin (EA), Uplay (Ubisoft), Bethesda.net (ZeniMax/Bethesda), Battle.net (Activision Blizzard) など多くのゲーム会社が自社の配信プラットフォームを持っています。Minecraft のランチャーもこの種別に入るでしょう。

これらは、自社タイトルを最低限のコストで配信することを主な目的として運営されています。したがって特に面白い発見もなく、大きなセールも少ないので、積極的に導入する理由はあまりないかと思います。プレイしたいタイトルの関係で必須となる場合のみ導入するとよいかと思います。

 

様々なメーカーの製品を配信しているサービス

Steam Store, GOG.com, Epic Games Store などでは、自社製品や自社と関係のある会社以外のさまざまなメーカーから発売されているゲームが配信されています。眺めていて面白いのは断然こっちです。

なお、サードパーティのショップや海外のレビューサイトでは、"DRM" と呼ばれている場合もあります。これは「digital rights management(デジタル著作権管理)」の略で、本来は不正コピー等を防ぐ仕組みのことを指しますが、配信プラットフォームには不正コピーを防ぐ機能もあるためです。

メジャーどころではタイトルにも挙げた Steam Store, GOG.com, Epic Games Store があります。ほかに、個人開発者に特化した場として、 Itch.io や Game Jolt があります。以下でそれぞれの特徴を簡単に説明します。

※他に Humble のように基本はキーの販売ながら一部 DRM フリー版を自社配信しているところもありますが、今回は割愛します。

 

Steam

Steam

  • クライアントソフト:あり (Windows, Linux, macOS) 利用必須
  • DRM:あり
  • 対応 OS:Windows, Linux, macOS

老舗 PC ゲーム会社でもある Valve によって運営されています。販売しているソフトの質・量ともに他の追随を許さず、Linux や macOS に対応したクライアントもあります。圧倒的なユーザ数によってレビューや Wiki といったコミュニティ機能が充実しているのも強みです。

PC ゲームを始めるならまずはここからです。とりあえず登録しましょう。

 

GOG

GOG

  • クライアントソフト:あり (Windows) 任意(ウェブサイトからのダウンロードも可)
  • DRM:なし
  • 対応 OS:Windows、Linux、macOS

Witcher シリーズを擁し Cyberpunk 2077 の発売も控える CD Projekt が運営しています。特長はなんといっても DRM をプラットフォーム全体で完全廃止していることで、どのゲームを買っても必ず DRM フリーであるため、いつか GOG がなくなっても、人類が滅びても、対応 OS が動くコンピュータさえあれば遊ぶことができます。また、自社タイトルは他のプラットフォームにはない特典コンテンツが付属していることも多いので、CDPR ファンは要チェックです。

クライアントソフト GOG Galaxy は現在のところ Windows のみの対応ですが収録ソフトはそれに限らず(もっとも Steam に Linux, macOS 版があっても GOG にはないこともあります)、クライアントの使用は任意であるため、OS を問わず利用することができます。

難点はクライアント・サイトが日本語に未対応であることくらいでしょうか(ゲーム自体は、Steam 同様に、日本語に対応しているものもあれば非対応のものもあります)。また、Steam や Epic と比べて日本からのダウンロードはやや遅めです。

 

Epic Games Store

Epic Games Store

  • クライアントソフト:あり (Windows) 利用必須
  • DRM:あり
  • 対応 OS:Windows

人気オンラインゲーム Fortnite の開発元である Epic Games によって運営されています。Epic Games Store はとにかく「札束で殴る」点に特色があります。Epic Games は Fortnite の売上に加え中国大手 Tencent からの大型出資も受けており、豊富な資金力を使って Steam の牙城を切り崩しにかかっています。Steam 配信ソフトを引き抜いて独占配信にするなど、そのなりふり構わぬ戦略には批判も根強いですが、既に無視できないシェアを得ています。

そして特筆すべきは、毎週1本、あるいはそれより多くのゲームが無料配布されることです。Steam などで実施されるフリープレイキャンペーンとは異なり、通常購入ソフトと同様の期間制限のない永続的なライセンスです。過去に配信されたソフトには Celeste、Slime Rancher, This War of Mine、Kingdom: New Lands など良作も多々あります。

もっとも、Fortnite や Unreal エンジンの好調による利益を回すことで維持できているという側面があり、これらの状況が変化した後の配信プラットフォームとしての将来には少し不安が残ります。

 

Itch.io

Itch.io

  • クライアントソフト:あり (Windows, Linux, macOS) 任意(ウェブサイトからのダウンロードも可)
  • DRM:開発者による(ほぼなし)
  • 対応 OS:Windows、Linux、macOS

小規模な企業 (Itch Corp.) により運営されています。

個人開発者のための場です。少し前まではサンプルコードそのままのものや人気作品と紛らわしいタイトルを付けられたものにオリジナル作品が埋もれていたりして勧めにくいサイトでしたが、最近はかなり改善しました。

個人開発者がファンの意見や寄付を募りながら少しずつ開発を進めていく場としてとても人気があります。CelesteVA-11 Hall-A といった人気作も Itch.io 出身であり、Celeste のように Itch.io でのみ DRM フリー版を購入できるタイトルもあります。Momodora の初期作品など、Steam では配信されていないタイトルもあります。

Steam, GOG, Epic に飽き足らないインディーゲームマニアの方にオススメです。

 

Game Jolt

Game Jolt

小規模な企業 (Lucent Web Creative, LLC) により運営されています。

これも完全に個人開発者のみです。サイトの使い勝手は Itch.io より良好ですが、開発者の取り込みにはあまり成功していないようです。

とはいえ美しく見やすいサイトなので、時々に覗いてみると思わぬ発見があるかもしれません。

 

結論

......は最初にも書きましたが、Steam Store, GOG.com, Epic Games Store の3大プラットフォームはそれぞれ全く異なる強みを持ちますので、3つとも登録して適宜使い分けましょう。

具体的な使い分けとしては、DRM フリーなど GOG.com だけの特徴に強い魅力を感じる場合は GOG.com でまず探すようにし、そうでない場合は Steam だけを使い、独占タイトルや大幅割引クーポン、無料配布などで Epic Games Store を利用するのがお勧めです。

面倒に感じる場合は、Steam Store 以外のことはとりあえず忘れても構いません。Steam Store だけでも不便することはありませんし、PC ゲームの世界は充分に楽しめます。

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